ヨーキョクデイ

100% pure impurities, which may imply some value. (j は虚数単位)

2 つの半円板上の重積分が一致するかもね

日常を数式を通して見るシリーズ。前回は楕円の中心に対する極座標表示と楕円の扇形の面積と - ヨーキョクデイだと思う。

前提

平面上に適当な円 $C$ を考え、$C$ の円周上および内部からなる領域を $D$ とする。

$C$ の円周上の $2$ 点 $\mathrm{P}_0,\mathrm{P}_\pi$ を結んだ線分が $C$ の直径となっているとき、それらの点を $C$ の中心まわりに反時計回りに角度 $\theta$ だけ回転移動した $2$ 点 $\mathrm{P}_\theta,\mathrm{P}_{\theta+\pi}$ を結んだ線分もまた $C$ の直径となっている。

$D$ は線分 $\mathrm{P}_\theta \mathrm{P}_{\theta+\pi}$ により分割され、点 $\mathrm{P}_\theta$ から円周上を反時計回りに点 $\mathrm{P}_{\theta+\pi}$ へとたどれる半円弧を含む領域とそうでない領域に分けられるが、それぞれを $D^+_\theta,D^-_\theta$ と表すことにする。

命題

連続な関数 $f:D \to \mathbb{R}$ について、適当な $\theta \in [0,\pi]$ が存在して\[\iint_{D^+_\theta} f \dd{S} = \iint_{D^-_\theta} f \dd{S} \]が成り立つ。

ざっくりした証明

実数 $\theta$ について関数 $F(\theta)$ を\[F(\theta) \triangleq \iint_{D^+_\theta} f \dd{S} - \iint_{D^-_\theta} f \dd{S} \]と定義する。このとき、$D^+_{\theta+\pi} = D^-_{\theta}$ であり $D^-_{\theta+\pi} = D^+_{\theta}$ であるから、\[
\begin{align}
F(\theta+\pi)
&= \iint_{D^+_{\theta+\pi}} f \dd{S} - \iint_{D^-_{\theta+\pi}} f \dd{S} \\
&= \iint_{D^-_\theta} f \dd{S} - \iint_{D^+_\theta} f \dd{S} \\
&= -F(\theta)
\end{align}\]が成り立つ。$F(\theta)$ は連続で $F(0) = -F(\pi)$ ゆえ、中間値の定理より $F(\theta)=0$ を満たす $\theta \in [0,\pi]$ が存在する。

Borsuk-Ulam の定理の $1$ 次元版の帰結だと思う。

チーズだけが載ったピザがあって半分に切り分けるとき、チーズが偏っていたらチーズの量が等しくなるようにしたいよね、という日常から思いついた問題だった。$f$ を各点近傍のチーズの量(密度)だと思うとよく、真円と見なせるピザについてチーズの密度分布が連続(高々有限個の不連続点を許してもよさそう)と見なせれば望む切り方が存在するとわかるが、その具体的な方法まではわからない。シリーズ前回に引き続きピザの話だった。

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